報告者:金浩(きむ・ほ)
テーマ:「見たいものしか見えない──記憶されない人々」
日本社会における「朝鮮・植民地認識」の欠落を、山梨在留朝鮮人の歩みを1910年併合時から45年解放まで具体的事例を掘り起こすことで検討。植民地化初期、10~20年代前半の梁川事件・早川水電工事への朝鮮人労働者集団就労、また30年代前半期の山梨土建労組による闘い、40年代日軽金㈱による富士川水電工事への朝鮮人戦時動員を中心に報告し、それらの伝承が日本社会のみならず「在日」社会においても課題であることを提起した。
「みんぱく研究公演 アリラン峠を越えていく──在日コリアン音楽の今」(2014年、国立民族学博物館)より30分、
ドキュメンタリー「アリラン峠を越えていく:在日コリアンの音楽」(2018年、国立民族学博物館、76分)を上映した。
上映前に制作監修者の一人・髙正子の共同研究者(当時、別件)でありまた2014年公演を観た橋本が簡単な解説を行い、
上映後は研究会参加者より感想などを一言ずついただいた。懐かしい、登場人物たちの一様ではない語りが印象的だった等。
報告者:樋口雄一(ひぐち・ゆういち)
テーマ:「植民地支配下の朝鮮人強制労働動員概要〜試論としての作業〜」
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報告者:木村健二(きむら・けんじ)
テーマ:「一九四〇年の国勢調査と在日朝鮮人古物商・屑物業」
まず、一九四〇年に実施された国勢調査の結果原表第二十一表には、在日朝鮮人(内地全体)の年齢別・産業小分類別・職業小分類が示されており、戦時労働動員が開始されて間もない頃の在日朝鮮人の状況を詳しく知ることができる貴重な資料であり、今回緑蔭書房より復刻されたことを紹介した。ついで、『在日朝鮮人史研究』No.49に掲載された論文「在日朝鮮人古物商・屑物業取締法令の推移と実態」に基づき、その法令の明治初年以降、一九三九年の戦時経済統制下に至る国レベルと府県レベルにおける推移を検討し、そのもとで当該営業に従事していた朝鮮人の実態についていくつかの府県につき紹介し、最後に戦時下における廃品回収の動きや同業組合・商業組合の動きのもとで、多くの朝鮮人が転廃業を余儀なくされ、殷賑産業の労働者として振り向けられていったことを論証した。
報告者:金栄(キム・ヨン)
テーマ;「一在日朝鮮人2世男性のうつ病と歴史・政治・社会状況」
会場:大阪経済法科大学セミナーハウス
日本在住韓国籍・朝鮮籍の自殺率と精神疾患罹患率が高いと言われている。それは、民族差別にさらされてきた社会状況と、日韓・日朝関係や南北分断という政治状況、植民地の歴史と解放後も清算されない植民地主義によって疎外され続けた歴史状況が、日本人や他の外国人とは異なるストレス要因として作用している結果と思われる。一在日朝鮮人二世男性のケースを通して、それらの検証を行った。男性は民族学校出身であり、日本学校に通う圧倒的多数の在日朝鮮人を代弁できるものでは決してないが、共通する特有の問題も見られた。そこから、在日朝鮮人がストレス要因から自身を守るための対策の検討を試みた。
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